幹の会と株式会社リリックによるプロデュース公演の輝跡

「平さん、大好きです」

深沢 敦

 平さんとの初共演は、平さんが蜷川さんの『王女メディア』に復活した時、乳母をやらせて頂いたのが初めてでした。
その公演は年をまたいで東京、大阪、福岡と、およそ2ヶ月半もやらせて頂き、平さんの熱演を見て聞いて感じた、まさに至福の時でした。
大学生の時、新橋演舞場で観た『鶴橋鶴次郎』平さんの最後の台詞、「俺もバカだよなあ~」を友達とモノマネしていたのに、今その平幹二朗さんが僕の目の前で全身全霊でメディアを演じている。
冒頭の台詞しかない乳母の僕ですが、後半平さんと一緒に出ているだけで、心が震えて、1時間半の上演が終わる度に、軽い疲労感となんとも言えない充実感で一杯でした。
 
 幹の会には、『冬物語』『オイディプス王』に出させて頂きました。
『冬物語』の再演の時は『オイディプス王』と続いていたので、1年間約200ステージ、ご一緒させて頂きました。
本当に本当にいろいろあって、それを書いていたら終わらないので、僕の老後の酒の肴にとっておきます。
 
 まあ、何にせよ平さんが好きである意味監視していた僕は、いろんな地方で平さんが食べる物、飲む物。
思わず買ってしまう、ちょっと値の張る洋服。たまに開かれる平さん主催の飲み会で若い役者のホレタハレタ話を、意地悪そうに聞く平さん。
隣で「シャー!」って勢いよく小便すると「いいですねぇ」と、いい声で軽く嫉妬する平さん。
冬の北海道でよく聞いた、北島三郎の「風雪ながれ旅」の「留萌滝川稚内~」の一節、その上手いこと。
すべて忘れません。平さんウォッチャーですから。
 
 僕の家には、平さんから頂いた舞台衣装、演劇史の本。
それに毎年送って頂いたおたふくソースと「もう年なんでこんなに飲めませんから」って赤ワイン。
まだ僕も使い切れてません。
でも平さんはもう居ない!
 
 圧倒的に悲しいです。
 本当にありがとうございました。
 大好きです。


 
2016年1月9日 
東京公演『王女メディア』初日パーティ